ピロリ菌検査と除菌治療

ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ菌)とは

強酸の胃液にさらされる胃粘膜という環境でも生息できる細菌で、感染すると慢性的な炎症を起こし、萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、過形成性ポリープなどの原因になります。胃がんに関しても9割以上はピロリ菌感染が原因となっていると指摘されています。ピロリ菌は除菌治療によって除去することが可能です。
NPO法人二十歳のピロリ菌チェックを推進する会(ハタピの会)が2014年5月~2016年12月に行ったピロリ菌感染のスクリーニング検査によると、日本人は3人に1人がピロリ菌に感染していると報告されています。年齢別では、30歳を超えると10%以上になってそれ以降はゆるやかに上昇していき、70歳以上では47%以上となっています。

 

衛生環境が感染率を左右

衛生環境が悪く上下水道が完備されていない国では感染率が高く、先進国では感染率が低い傾向があります。ただし、日本は若年層の感染者数が低下傾向にあるとはいえ40歳以上の感染率はいまだに高い状態が続いています。
経口感染することはわかっていますが、感染経路や予防方法はまだよくわかっていません。ただし感染が起こるのは免疫力が弱い乳幼児期とされています。

ピロリ菌の感染検査

慢性的な胃炎などがある場合にピロリ菌感染が疑われますが、感染していても無症状であることが多いため、リスクが高い場合には検査をおすすめしています。また、健康診断などで慢性胃炎と診断された場合は、その結果をご持参して受診してください。

内視鏡を使う検査

迅速ウレアーゼ法

ピロリ菌が持っている酵素であるウレアーゼを検出する検査です。内視鏡で胃粘膜を採取して行います。ウレアーゼという酵素は、尿素とアンモニアを二酸化炭素に分解する働きを持つため、アンモニアに反応する試薬を用いて検査します。

組織鏡検法

採取した胃粘膜に特殊な染色を施して顕微鏡で観察します。

内視鏡を使わない検査

抗体検査

尿や血液を採取して行います。抗体は細菌感染した際に作られるもので、その有無を調べます。

便中抗原検査

便を採取して行います。抗原は菌の構成成分で、その有無を調べます。

ピロリ菌感染検査と保険適用

ピロリ菌感染検査や除菌治療を保険適用で受ける場合には、いくつかの条件をクリアする必要があります。

内視鏡検査によって早期胃がんやピロリ菌が原因の萎縮性胃炎、胃炎と診断された
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療を受けている、あるいは以前に受けた
胃MALTリンパ腫、突発性血小板減少性紫斑病がある

ピロリ菌の除菌治療

除菌は抗菌薬2種類とその作用を高める胃酸分泌抑制薬を1週間服用します。除菌成功判定は正確な結果を得るために薬を服用後6~8週間後に行います。最初の1次除菌が失敗した場合には抗菌剤を1種類変更して2次除菌が可能です。

 

1次除菌・2次除菌

抗菌薬2種類と胃酸分泌抑制薬を朝・晩の2回、7日間服用し、6~8週間後に除菌判定を行います。2次除菌では抗菌剤を1種類変更して同様に行います。

除菌治療薬の副作用

副作用には、肝機能の(AST(GOT)、ALT(GPT))値の変動、軟便、下痢、味覚異常などが報告されていますが、除菌薬服用後はほとんどが治まります。また、除菌が進んで胃が正常になるに従って一時的に逆流性食道炎のような胸やけ・呑酸といった症状が現れることもあります。こうした症状が気になる場合は早めにご相談ください。
なお、発疹やかゆみといったアレルギー反応が起こることがありますが、その場合は服用を中止してできるだけ早く医師にご相談ください。

 

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